大判例

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仙台高等裁判所 昭和29年(う)457号 判決

次に原判決は原判示1の刀剣たる原裁判所押収領第二九号の1の脇差一本の没収を言渡し、その適条としては刑法第十九条を掲げている、しかしながら原判示によれば右脇差一本に関する被告人の犯罪は、被告人が山本達三から登録を受けた該刀剣を譲受けながら、文化財保護委員会に之が届出をしなかつたという銃砲刀剣類等所持取締令第二十八条第十二条第一項の罪で、その届出義務違反が罪となるに過ぎず、その犯罪と刀剣との関係は刑法第十九条第一項各号の何れにも該当せず、唯その違反行為に係る刀剣類を被告人が所有し又は占有するときに限り銃砲刀剣類等所持取締令第三十条により没収することができるのみである。而して記録によれば被告人は昭和二十八年十二月十日頃、これを清水信をして高橋栄子に入質せしめたものであることは明白であり、高橋栄子の任意提出書によると、入質後三ケ月の質流期間を経過し、同人は右脇差を八戸市白銀町字昭和町六番地清野芳次郎に売却したものであることが窺われ、その他記録を精査しても右脇差が現に被告人の所有し又は占有するものであることの証拠は発見し得ないから、右銃砲刀剣類等所持取締令の規定によつても没収し得ないものである。然らば右刀剣を刑法第十九条により没収する旨言渡した原判決は、この点の事実関係を誤認しかつ法令の適用を誤つたものであり、この違法は判決に影響を及ぼすことが明かであるから原判決はこの点でも破棄を免れない。

(裁判長裁判官 鈴木禎次郎 裁判官 蓮見重治 裁判官 細野幸雄)

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